2015年10月10日土曜日

【第498回】『白い巨塔(五)』(山崎豊子、新潮社、2002年)

 改めて読んでも感涙の最終巻。

 以上、愚見を申し上げ、癌の早期発見並びに進行癌の外科的治療の一石として役だたせて戴きたい。なお自ら癌治療の第一線にある者が、早期発見出来ず、手術不能の癌で死すことを恥じる。(401頁)

 財前が死に際して残していた病理解剖に関する意見書。死を以てしても癌に対する取り組みを追求しようとする姿勢と、自身に対する悔やむ気持ち。プロフェッショナルについて考えさせられる至言であり、彼の癌に対する対峙の姿勢と研究に対する真摯な意志が隠されていたことに最後に静かな感動をおぼえる。

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