2014年11月15日土曜日

【第373回】Number865「BASEBALL FINAL 2014」(文藝春秋、2014年)

 毎年、日本シリーズ後のNumberを買っている。クライマックスシリーズと日本シリーズを数年前から見始め、自然とその特集に興味を抱いて購読するようになった。クライマックスシリーズの是非についてここで述べるつもりはない。しかし、私にとって、クライマックスシリーズという存在は、野球に興味を持たせる手段となっていることは間違いない。

 今号においては、ソフトバンクと阪神の双方の視点から、第1戦から第5戦に至るまでの解説は秀逸である。興味関心がある方はぜひ、本誌を手にとってお読みいただきたい。

 日本シリーズ以外の特集では、大谷投手と藤浪投手という同世代の二人を相手にした石田雄太氏のインタビュー記事が読み応えがあった。変化に対する二人の覚悟について、引用してみたい。

大谷 僕も変化は大事かなと思います。変わることによって後退する怖さもありますけど、それでも前へ進んでいかなきゃいけないので、怖がってる場合じゃないですし……(中略)
藤浪 結局、こっちが勇気を持って変わることが、プロとして何年もコンスタントに結果を残していく難しさなのかもね。(32頁)

 二十歳の若者の発言であることを忘れそうな、含蓄に富んだ言葉ではなかろうか。ビジネスシーンでも活きる考え方を、大学二年生に相当する二人が当たり前のように述べている。二人のように、メディアが注目する活躍をすれば嫌が応にも他者からもてはやされる世界である。そうした環境に適応するために、人付き合いの機会が増えて、自分自身の鍛錬に目が向かなくなることもあるだろう。しかし、自分に向き合い、変化を自ら創り出そうとしている。二人の今後に、ますます興味がわく。


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